APNEA WORKS by Ryuzo SHINOMIYA
photo
KONA FREEDIVE CHALLENGE レポート        

松元恵選手 3種目の日本新記録を樹立         DIVER '04年 1月号より転載


昨年ハワイ島で行われた『パシフィックカップ』から一年、USチームアナベル・ブリゼノ選手の世界記録挑戦を中心に、同国ビル・グラハム選手、日本から松元恵選手、オーストラリアからウォルター・ステイン選手がそれぞれの記録を更新すべく、ハワイ島コナの美しい海に再び集った。

日本の松元選手が挑むのはコンスタント、コンスタントノーフィン、フリーイマージョン、スタティックの4種目。最大のターゲットはコンスタントである。フリーダイビング競技の中で真髄とされ、最もチャレンジングな種目だ。松元選手は『‘98イタリアW杯』以来、毎年のように日本記録を更新していたが、去年の『パシフィックカップ』で53mの日本新をマークした高樹沙耶選手に日本女王の座を明け渡している。今回はチャレンジャーとして日本記録の更新に挑む。


11月9日 
 まず、松元選手が挑戦したのはコンスタントノーフィン。本番の2週間前に初めてトライした種目だったが、きれいなストロークで30mの日本新記録を達成した。一方、アナベル選手は同種目で43mの女子世界記録に挑戦したが、浮上中3m付近でブラックアウトに陥り、成功には至らなかった。


11月13日
 4選手はスタティックの記録に挑戦。息を殺して時間が過ぎるのを待つメンタルタフネスが問われる種目だ。トップバッターの松元選手は日本記録5分4秒の更新を目指すが惜しくも4分30秒で顔を上げる。続くウォルター選手は6分10秒の国内記録を達成。アナベル選手は6分18秒の世界新記録に挑む。コーチで夫のマットが終始励まし続け、6分21秒の女子世界新記録を樹立した。立て続けに失敗した後だけにマットと喜び合う姿がとても印象的であった。最後にビル選手が6分56秒の国内記録を達成。


11月15日
 松元選手はコンスタントの新記録を目指し、日本女子最深のグランブルーへ潜行。テンポのよいフィンワークで青く透き通るコナの海に溶けていった。1分後、20m付近まで松元選手を迎えに行くと、柔らかいウェービングで浮上している姿が確認できた。「Megumi56m」と書かれたタグを握り締め、水中を滑るように水面を目指す。そして潜行を開始してから約1分40秒後、満面の笑みで水面を割った。高樹選手が保持していた記録を3mも上回る新記録を達成し、一年間手放していた日本女王の座を奪還した。本人もかなりの余裕があったようで「60mが見えてきた」とのコメント。一方、アナベル選手はフリーイマージョンで71mの女子世界新記録を樹立し、晴れて世界新2冠を達成した。


11月17日
 松元選手はフリーイマージョンで52mの日本記録を達成。またもポテンシャルの高さを見せ付けた。ウォルター選手はコンスタントで71mの国内記録を樹立。

松元選手は日本記録を3つ更新し、去年樹立したダイナミックの記録と合わせて日本記録4冠を達成。「素晴らしい世界のステージで挑戦できて光栄、これに恥じないよう今後も頑張りたい」と抱負を語ってくれた。
                                               文:篠宮龍三

 photo