APNEA WORKS by Ryuzo SHINOMIYA

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photo : Yoshiharu Mizobuchi

mind  as  water

世界選手権へ    4  Aug    2005 
日本選手権で事故が起きてから一ヶ月近くが経とうとしています。有志による捜索が続いておりますが、未だ高原さんの行方、手掛かりは見つかっておりません。

日本代表選手の世界選手権への派遣については、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますがJAS/AIDAジャパンからの派遣ではなく、選手個人が個人枠へのエントリーを行うこととなりました。我々JAS/AIDAジャパンも協議を重ねてまいりましたが、高原さんのご家族、ご友人、会社の同僚の皆さんから選手派遣に対して前向きなご意見を頂き、JAS/AIDAジャパンは選手個人の参加に対して許容していくことに決定しました。

また、AIDAインターナショナルのビル・ストロンバーグ会長とも今回の事故について話し合いを持ちましたが、「高原さんの行い、気持ちに敬意をはらうことが非常に重要である。その為にもヨーロッパへ選手を送って欲しい。逆にもし選手を派遣しないことになればそれは高原さんに対して失礼にあたるのではないか。是非とも前向きにそして建設的に考えて欲しい」との言葉を頂きました。篠宮自身も自粛すべきか参加すべきか大いに悩みましたが、スイスとフランスの世界選手権へ参加することに決意しました。

今となっては高原さんが「日本人選手は何があっても世界選手権へ行って欲しい」と考えているかどうかは分かりません。また彼ならこう考えるはずだ、と曖昧で自己満足的な推論で派遣に対して賛意を表明することは社会的には到底認められないことであり、安易に、「彼の頑張りを無にしないために」・・・と言うつもりはありません。

しかし第二の犠牲者を出さないためにも、今後のセキュリティー体制を考えるためにも、先進国フランスの新たなセキュリティー方法を実際に自分の目で確認し、体験し、それを日本へ持ち帰ることは、これからの日本のフリーダイビングにとって必要なことだと考えています。フランスのセキュリティー体制は競技会もアテンプトも60mMAXという最小限のスクーバセットで行われていますが、それでも今回の事故を重く受け止め、世界選手権ではサポートダイバーの配置に関して大幅な改定が行われる予定です。また、フランスのオーガナイズチームをはじめビル会長、各国のフリーダイバー、コーチたちと今回の事故に関して話し合い、世界でもこういった事故が二度と起きない様に安全に対してより高い共通認識を持つことは我々日本人選手にとっての義務であると思います。

最後に、日本人選手は個人枠でのエントリーとなり、またそのため各種目ごとへの参加不参加、人数の増減があります。この期になぜ敢えて参加するのか?と大変な疑問を感じられる方もいらっしゃるかと思います。しかし、選手は決して個人の享楽や欲望を満たすために大会へ出るのではないことを是非ご理解頂きたいと思います。個人個人の胸にはただ楽しい感情だけではなく、辛く悲しい思い出や、それを乗り越えて先へ進もうとする気持ちがあることをお解かりいただければと思います。

フリーダイビングは海と人を繋ぎ、そして人と人を繋いでくれる素晴らしいスポーツだと信じています。

今後も皆さんのご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


                         2005年 8月4日  篠宮龍三
 

graphic :
Koichi Fujimoto