| APNEA WORKS by Ryuzo SHINOMIYA | |||||
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APNEA WORKS SCIENCE PROJECT - 1 |
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ヒトも海洋哺乳類と同様な酸素節約反応を備えるのか? |
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APNEA WORKS Trainer 藤本浩一(日本女子大学) |
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海洋哺乳類(アザラシ等)は、息をこらえて潜水する際に生命維持に重要でない腕や足などの血管を収縮させて血液を流さないようにします。そして、その流さなくなった分の血液を心臓や肺、さらに脳などの生命維持に重要な器官に送る事が出来ます。 |
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特に血液(Blood)が生命維持に重要な器官に移動(Shift)するという事から、この反応には「Bloodshift」という名称がついています。そして、Bloodshiftや心拍数の低下(Bradycardia)を総称して「酸素節約反応 ; oxygen conserving response」と呼びます。また、この酸素節約反応は潜水反応(diving response or reflex)とも呼ばれていて、こっちのほうが親しみがあるかもしれませんね。 |
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映画「グランブルー」で、主人公ジャックがペルー山中の湖において、潜水中の胸部内を観察されるシーンが出てきます。このとき観察していた博士は心臓付近に血液が集まる現象を見て「ジャックは超人だ!このような現象は海洋哺乳類にしか見られない!!」なんて事をいってましたよね。たしか? |
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しかし、そんな事はないんです。これはあくまで映画のお話。 |
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「ヒトも海洋哺乳類と同様な酸素節約反応を備えるのか?」 その答えは、 |
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「YES」 なんです。 |
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まあ、程度の差はあるのですが。 やっぱイルカやアザラシには勝てないです。 |
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息こらえ中の心拍数の低下や血圧の上昇(これはアザラシでは起こらず、ヒトだけに観察されます)などはこれまで多くの研究報告が有り、すでに教科書的な話になってます。という事で、第1回目のSCINECE PROJECTは、篠宮君を初めとしたアプネアダイバーに息こらえをしてもらい、息こらえ中の脳と腕の血液量の変化、つまりBloodshiftについて観察してみました。 |
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これは篠宮君と山内さんの息こらえ中の脳と腕の血液量変化を示しています。このように息こらえ開始と同時に脳の血液量は増加し、腕においては息こらえ開始から20秒ほどで急激に低下します。そして、この実験は陸上で椅子に座って息こらえをしたんですね。 |
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深く潜って水圧が掛かれば当然手足の血管は圧迫され、「水の力」によってBloodshiftが受動的に起こるような印象があると思います。マイヨールも著書の中で「Bloodshiftは水圧を受ける事によって引き起こされる」と書いています。しかし受動的な面だけではなく、息こらえをするだけで、篠宮君や山内さんは自らの腕の血管を収縮させて、脳へと血液を移動させる事が出来るのです。自分で血管を閉める事が出来ちゃうなんて、実にすばらしい! |
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それと、注目したいのは篠宮君が息こらえをしている時に、一度下がった腕の血液量が2分30秒後くらいにちょっと上昇してピークを迎え、また低下します。そしてこのピークと同じくして脳の血液量が少し下がるんですね。このように腕の血液量が上がると脳の血液量が下がるという動態のシンクロが観察されます。これを見ていると、腕に行かなくなった血液が本当に脳に行ってるんだなあと思いました。わざわざペルーの山奥まで行って氷の湖に潜らなくても、非常に興味深い結果が得られました。 |
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また「水の力」の紹介をついでにもう少し。「水に触れている感覚」を口の周り、「水の冷たさ」を特に眉間辺りで十分に感じ取ると、より心拍数の低下やBloodshiftも起こりやすくなる事がヒトでも実験よって確かめられています。このように酸素節約反応をより強く引き起こす為には「水の力」というのがとても大切なんですね。 |
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さて、篠宮君や山内さんは世界選手権代表選手だからこういう現象が認められるんじゃないの? と思われる方もいらっしゃると思います。確かに、そのような面もあります。しかし一般の人にも程度が小さかったり、反応の早さが異なったりするのですが、同じような傾向の反応が認められるんですよ。このあたりの事は、現在ボランティアのアプネアダイバーの方々にご協力を頂いて検討を重ねているところです。篠宮君や山内さんとはどういう所に違いがあるのか? 解明されればトレーニングの指針になるかもしれませんね。この件については次回のSCINECE PROJECTでご報告しましょう。 |
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※この報告の一部は第59会日本体力医学会にて発表したものです。 |
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